女子サッカー投資家 | ミシェル・カン(Michele Kang)とは

女子サッカーに巨額投資をするミシェル・カンとは

2025年冬の移籍市場で熊谷紗希がローマからチャンピオンシップ(イングランド2部)のロンドンシティ・ライオネスに移籍しました。

ローマとの契約は2025年夏まででしたが、ロンドンシティ・ライオネスから金銭的にいいオファーがあったのこと。なんだ2部かぁ。と思うかもしれませんが、このロンドンシティ・ライオネスが今おもしろいのです。

何が注目なのかというと、ワシントン・スピリットとオリンピック・リヨンのオーナーであるアメリカの実業家、Michele Kangが2023年12月にクラブを買収したのです。これにより、クラブはトップ選手の獲得やトレーニング環境の向上が可能になり、WSLへの昇格を全力で狙っているのです。

この、世界の女子サッカークラブを複数所有するMichele Kangとは何者なのか、彼女の人生をまとめました。

経歴まとめ

1951年 韓国で生まれる
シカゴ大学経済学部学士号取得
イェール大学経営大学院修士号取得
経営コンサルタントになる
Ernst and Youngに入社(パートナー)
Northrop Grummanに入社(Senior Executive)
2008年 Cognosanteを設立
2022年3月 ワシントン・スピリット買収
2023年5月 オリンピック・リヨン買収
2023年12月 ロンドンシティ・ライオネス買収
2024年6月 ロンドンシティ・ライオネスのスタジアム移転とトレーニング施設の買収を発表
2024年7月 kyniscaを設立し、女性アスリートの健康増進に5,000万ドルの投資を発表
さらにアメリカ女子ラグビーへ400万ドルの投資を発表
2024年11月 アメリカ女子サッカーに3,000万ドルの投資を発表

実業家としてのキャリア

カンは経営コンサルタントとしてキャリアをスタートします。企業に新興技術を活用してイノベーションと成長をリードする方法をアドバイスしていました。
Ernst and Youngではパートナーとしてハイテク、通信業界を専門としていました。アメリカの航空宇宙および防衛技術企業であるNorthrop Grummanでは、eビジネス部門、グローバル情報技術部門、ヘルス&サイエンスソリューション部門に従事していました。

2008年、自宅ガレージ上の空き部屋でCognosanteを設立すると、わずか数年で会社は急成長し、情報技術分野の業界リーダーおよびイノベーターとして台頭しました。Cognosanteは主要な連邦保健機関、軍事機関、諜報機関、および州の保健プログラム向けのテクノロジーソリューションを提供するプロバイダーです。

女子スポーツへの貢献

カンは、プレミアチームの構築、インフラ、スポンサーシップ、メディアの平等性、およびリーグオーナー間の多様性を確保することでリーグの前進に貢献するという、強い意志を持ってワシントン・スピリットのオーナーになりました
男女同一賃金をはじめ、サッカー界で男女平等の競争の場を作ることを提唱する世界的リーダーとなりました。

女性スポーツに特化した大手メディアプラットフォーム、Just Women’s Sportsなど、女性が主導するスポーツスタートアップ企業も支援しています。

2024年11月には、アメリカ女子サッカーに3000万ドルを投資することを発表しました。この投資によって、現在協会が運営している代表チームキャンプの数が倍増し、ユース代表チーム向けに年齢グループごとに6つのキャンプを開催できるようになります。
デジタルタレント発掘プラットフォームの構築にも役立ち、ユースナショナルチームのパイプラインに12倍の選手が加わり、10万人の女性選手にアクセスできるようになります。
さらに7万人の女性コーチや審判に教育や指導を含む専門能力開発の機会が提供され、サッカー界における女性コーチや審判の数は倍増するとされています。

代表チームではアメリカ一強になりそうですね。

複数チームからなる女子サッカー組織、Kyniscaを設立

2024年7月、カンは女子サッカーに特化した初の複数チームからなる世界的組織であるKynisca Sports International, Ltdの立ち上げを発表しました。この組織は、スポーツ界に前例のない規模の投資をもたらし、永続的な変化を推進します。女性アスリートに成功に必要なインフラと手段の提供、最高のプレーとトレーニング環境の提供、世界クラスの技術スタッフの採用、女性アスリートに特化したイノベーションとスポーツ科学の推進が含まれます。

最先端の研究、教育、イノベーションを通じて女性アスリートのトレーニング方法に革命を起こすことを目的とし、Kynisca Innovation Hub (KIH)を設立。女性の身体の特徴に合わせてパフォーマンス評価とトレーニングを調整し、女子スポーツ業界に革命を起こす総合的なモデルを開拓しています。

2024年10月には、女性向けサッカースパイクの開発をするIDA Sportsに、200万ドルの投資を行うことを発表しました。女子サッカー選手はACL損傷を負う可能性が4〜8倍高いという報告がされいますが、この投資によって女性向けスパイクが普及し、改善されるといいですね。

女子スポーツ以外の貢献

カンは、従来の常識に挑戦するベンチャー企業にも投資しています。また、患者の医療体験を大きく変えるデジタルヘルス企業を支援、指導するためにCognosante Venturesを設立しました。

朝鮮戦争で祖国を守るのを助けてくれた米兵たちに感謝し、アメリカ退役軍人を支援する活動をしています。女性退役軍人のホームレスをなくし、負傷した退役軍人とその介護者に雇用を見つけることを目指す組織も支援しています。

その他として、ワシントン国立オペラとノートン美術館の理事を務め、ケネディセンター国際芸術委員会とパームビーチ交響楽団にも所属しており、マルチに活動しています。

女子サッカーの未来

カンはこう言っています。「女子スポーツがいいビジネスだと証明することが自分の使命である。大陸ごとに1つは女子スポーツを所有し、どこにでも同じものを届けて、女子アスリートが自分の手の届くところにあるとわかるようにしたい。

カンに触発されて女子スポーツへの投資が増えれば、女子アスリートの心身の健康が守られ、さらに高いパフォーマンスが発揮できるようになります。プロアスリートという実現可能なキャリアパスを構築し、若い女の子や女性がスポーツを諦めることなく夢を叶えられる環境にしなければいけないです。

私は投資することはできないですが、女子サッカーを観戦したり情報を発信することで女子サッカーの魅力を届けていきたいと思います。

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